予防対策③唾液腺マッサージ、舌トレーニング【3章-4】

唾液の分泌と舌苔の予防で口腔内環境の維持を!

歯周病や虫歯、口臭の予防には、唾液の分泌舌苔の予防が大きな役割を果たします。

唾液には、口腔内に潜む歯周病菌や虫歯菌を除菌する効果と、口臭の原因である舌苔増加を予防する効果があります。
歯周病、虫歯、口臭全てを抑える効果があります。健康のためにも、唾液の分泌を意識的に行うことで予防につながります。

口臭に大きく関わる舌苔は体調が悪いとき以外に、人とあまり話をせずや無表情で口周りの筋肉を動かさない場合にも増加します。
そのため、積極的に舌や口周りの筋肉をしっかり動かして、舌苔を防ぐことが口臭予防として重要なポイントです。

唾液の分泌や舌・口周りの筋肉を動かすには、食事中によく噛むことが重要ですが、それだけでは足りない場合もあります。

そこで、ここでは、数分で簡単に唾液の分泌と筋肉の運動を助ける、唾液腺マッサージと舌トレーニングについて、ご紹介いたします。

唾液腺マッサージ

唾液腺マッサージは内側からではなく、外側からの刺激で唾液を分泌する方法です。

唾液腺マッサージには唾液の分泌だけでなく、リラックス効果もあるので、疲れを感じたときにサクッとやってみてください。

唾液腺の位置

まず唾液腺の位置を確認しておきましょう。
唾液腺は口の中に2箇所あります。

一つは、耳たぶのやや前方の頬あたりにある耳下腺(じかせん)。耳下腺は、梅干しやレモンなどを想像したときに唾液が出てくる唾液腺で、サラサラした唾液を分泌します。

もう一つは、顎の骨の内側で柔らかい部分にある顎下腺(がつかせん)で、食べ物をまとめるための粘り気のある唾液を分泌します。

唾液腺マッサージのやり方

①耳下腺マッサージ
耳たぶのやや前方にある上の奥歯あたりの頬に指をそえて当て、回すように軽く押します。

②顎下腺マッサージ
顎の骨の内側部分の柔らかいところに親指を当てて、耳の下から顎の先まで順番に押していきます。

【図:唾液腺マッサージ】

図は「倉治ななえ「図解むし歯 歯周病の最新知識と予防法」電子書籍ページNo.968,日東書院,2015年発行」から改変

【参考文献】
倉治ななえ「図解むし歯 歯周病の最新知識と予防法」日東書院,2015年発行

舌トレーニング

舌トレーニングは、舌を動かすだけの簡単な舌の運動です。

舌を動かすことで舌の血行を促進し、舌苔がつきにくい舌になります。
また、口腔機能を維持するための必要な筋肉が鍛えられて、口腔内の環境の改善と口臭対策にもつながります。

ここでは、 3つの舌トレーニング方法をご紹介します。
それぞれのトレーニングを各3分ずつ、1日3回実施してみましょう。

舌運動

①顔を45度くらい上にあげて、3cmくらい口を開ける
②舌を上の前歯の裏→下前歯の裏→下右奥歯→舌左奥歯という順番で上下左右に動かすここでのポイントは、口を開けたままキープしてリズミカルに動かすことです。

[図:舌運動]

食いしばり運動

①「イー」の口をして、口の両端を引っ張る感じで食いしばる
②その後、食いしばる→緩める→食いしばるを繰り返す
食いしばったときに、首に筋肉が浮き出るのを確認しましょう。

【図:食いしばり運動図】

ひょっとこ運動

①「ウー」の口をして口を尖らせる
②上唇と下唇を揃えたまま、左右にひょっとこのように唇を動かす
③左右への移動を繰り返す
形が崩れないように、鏡で確認しながらやってみてください。

【図:ひょっとこ運動】

【参考文献】
本田俊一「もう、口臭で悩まない!」アーク出版,2015年出版