医薬品とサプリメントの違い【医薬品の基礎知識】【5章-1】

認知症・物忘れの医薬品とサプリメントの違いとは

第1章から第4章まで、認知症・物忘れの予防対策ができるサプリメントについて紹介いたしました。
本章では、認知症・物忘れの予防対策が期待できる医薬品について解説・紹介していきます。

 医薬品の特徴
 医薬品とサプリメントの違い
 医薬品の種類

まず、上記の3つについて解説いたします。

認知症予防医薬品の特徴

認知症・物忘れ予防の医薬品の特徴は、臨床試験や実験を通して病気に対しての効果が確認されていることです。
医薬品とは、医療機関でも認められている治療や予防に使用される薬です。原料、保管、品質などの点での厳しい審査を合格した薬であり、安全性や信頼性の高いものであるといえます。
医薬品には3つの種類があります。病院で処方してもらえる医療用医薬品、ドラッグストアなどで手に入る一般用医薬品、医療用医薬品から一般医薬品に転用されたばかりのものを要指導医薬品です。
認知症発症後に服用する薬は病院での処方が必要な医療用医薬品がほとんどですが、認知症発症前の予防につながる薬は一般用医薬品のものもあります。

認知症予防の医薬品とサプリメントの違い

認知症・物忘れ予防には医薬品とサプリメントの両方がありますが、具体的にどんな違いがあるのでしょうか?
1つ目は、安全性と信頼性の違いです。医薬品の特徴は効果がしっかり確認されており、安全性と信頼性が高いことです。臨床試験や実験で効果が確認されており、厳しい審査に通ったものしか医薬品と認められません。
しかしサプリメントは、使用されている成分にしっかりとした効果が確認されていなくても販売が可能です。ただし、サプリメントが必ずしも効果が低いというわけではなく、今は、食品成分の臨床試験も進んでおり、機能性表示食品やトクホなどの認証が可能になりました。そのため、しっかりと研究や臨床試験で特定の効果の裏付け根拠があるサプリメントも増えています。

2つ目の違いは、サプリメントは食品であることです。医薬品はその名の通り「薬」という部類ですが、サプリメントはあくまで健康食品であり、成分も食品原料であることがほとんどです。
逆に医薬品の成分を確認してみると、医薬品にしか使われない成分が配合されていることがあります。また、医薬品や治療薬はサプリメントに比べて添加物が多く含まれている場合も少なくないので、気になる方はしっかり調べてから服用しましょう。

3つ目に、医薬品には必ず審査があり、品質が一定に他もたれているのに対して、サプリメントは時期や原料によって品質が異なるという違いがあります。そのため、「機能性表示食品」や「トクホ」といった国から審査の上で認定をされている本格的なサプリメントがおすすめとなります。

<医薬品とサプリメントの比較表>

医薬品 サプリメント
効果
臨床試験や実験で、効果に関する確かな根拠と結果が出ている。
機能性表示食品:〇
成分に関する試験・実験がされていない根拠のないものもあり、機能性表示食品ではない一般サプリは「?」
部類 (健康)食品
品質
常に一定の品質。品質に関して厳しい審査がある。

医薬品と同じ工場で作られていることも多い。
手に入れやすさと継続性
病院での処方や薬剤師による指導がないと手に入れられないものもある。長期服用であるほど体の負担・副作用が心配

誰でも簡単に手に入る。ネットでも購入可能。食品であり安心で継続しやすい

認知症・記憶障害・物忘れ向けの医薬品・サプリに副作用・危険度はある?

認知症や物忘れの医薬品、サプリメントは複数あります。そこで気になるのは、医薬品やサプリメントの副作用ではないでしょうか?
そこで、医薬品・サプリメントのそれぞれの副作用や危険度について解説します。

医薬品の副作用や危険度

医薬品には「副作用」が発生する恐れがあります。医薬品は効果が高い分、副作用が起こりやすく、使用の際には注意が必要です。
医薬品には複数の種類がありますが、私たちが手に取る機会の多い「一般医薬品」も副作用に注意しなくてはいけません。
特に、第1類、第2類医薬品は「その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずる恐れがある医薬品(※厚生労働省HPより引用)」と記載されており、副作用の恐れが十分にあります。「薬と毒は紙一重」という有名な言葉もある通り、摂取の量や頻度・適性などは十分に注意をしましょう。
第3類医薬品は、第1類、第2類以外の一般医薬品です。第3類医薬品については「日常生活に支障を来す程度ではないが、身体の変調・不調が起こる恐れがあるもの(※厚生労働省HPより引用)」と記載されています。

薬局などで気軽に手に入る一般医薬品ですが、「医薬品」である限り副作用の危険があります。それは、記憶障害や物忘れ用の医薬品も対象です。
使用の際には、専門家からしっかり説明を受け、副作用に関しての知識も持っておきましょう。

※参考・引用:厚生労働省「一般用医薬品のリスク区分」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000050568.pdf

サプリメントの副作用や危険度は?

認知症や物忘れのサプリメントはあくまで「健康補助食品」であり、行政から「食品」と認定されているものです。つまり、一般的な食品と変わりないと認められているため、危険なものではありません。また、指示通りに摂取すれば副作用もありません。長期的に安心して服用したい方は、食品であるサプリメントをお勧めします。サプリメントは本来、効率的な栄養成分の補給を目的としたものであり、「有効な食品の成分を効率的に摂る」ということです。
ただし、目安量より多く摂取することや、お持ちのアレルギーや病気と相性の悪い成分を摂取することで体に害を与える場合があります。
また、使用中の医薬品と併用してしまうと、医薬品の効果が弱くなったり、副作用が強くなったりすることもあります。
サプリメントを安心安全に使用するために、気になることがある方は、薬剤師や医者などの専門家に確認した上で使用しましょう。

参考:厚生労働省「健康食品の正しい利用方法」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/kenkou_shokuhin00.pdf

医薬品の種類とは

医薬品には以下の3つの種類があります。

 医薬用医薬品
 要指導医薬品
 一般用医薬品

それでは、それぞれの特徴について解説いたします。

医療用医薬品とは?

医療用医薬品とは、医師から診断を受けた上で処方される薬です。病院や診断書などでの診断が必要で、薬剤師が調剤した薬であり、「処方薬」といわれます。
医療用医薬品の特徴は効果が高いこと。しかし、その分副作用にも注意しなければいけません。必ず医師と薬剤師の指示に従って服用するようにしましょう。

要指導医薬品とは?

要指導医薬品は、医療医薬品から市販薬に転用されたばかりの薬です。薬剤師からの指導のもと使用、購入できます。市販薬として販売が始まってから原則3年間は「要指導医薬品」として扱われます。

薬剤師の指導が必須なため、ネット上での購入はできないようになっています。

一般医薬品とは?

一般医薬品は、一般の方でもドラッグストアやネットで購入できる薬です。要指導医薬品は販売から3年経過し、安全が認められると一般医薬品へ移行されます。
基本的に一般医薬品は、医療用医薬品よりも有効成分が少なめに配合されており、その分効果も控えめです。

また、一般医薬品の中でも分類があり、第1類から第3類の医薬品に分けられます。

第1類医薬品:薬剤師による情報提供が義務付けられている薬
第2類医薬品:薬剤師または登録販売者からの情報提供が努力義務である薬
第3類医薬品:薬剤師または登録販売者から購入できる薬。(情報提供に法的制限なし)

特に第1類医薬品と第2類医薬品は副作用や薬の飲み合わせリスクがあるため、薬剤師(または登録販売者)による指導や説明なしに服用するのは危険です。

また、第1類、第2類医薬品がネットで販売がされていることがありますが、こちらも薬剤師や登録販売者の情報提供や相談が義務づけられています。

参考:中外製薬「医療医薬品・要指導医薬品・一般医薬品」
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/hospital/hospital005.html