認知症・物忘れが起こる原因物質【1章-2】

認知症や物忘れが起きる原因物質とは?

認知症が起こる原因には、「アミロイドβ」や「タウたんぱく質」などの有害たんぱく質の蓄積が関係しています。

アミロイドβとは、アルツハイマー型認知症の原因となる有害物質です。アミロイドβは通常、健康な人の脳にも存在していますが、いらない物質として脳で分解し排出されます。しかし、何かしらの原因で物質の分解と排出がうまくいかなくなると、脳内にアミロイドβが蓄積されてしまいます。このアミロイドβの蓄積により、脳細胞が死滅したり脳が萎縮したりすることで認知症が発症します。

タウたんぱく質とは中枢神経細胞に存在するたんぱく質です。タウたんぱく質は生後の脳の成熟などの役割を果たす物質ですが、異常に蓄積すると神経変性が起こります。この神経変性によって、認知症が発症してしまいます。

認知症・物忘れの原因物質が蓄積されるのはなぜ?

アルツハイマー型認知症の原因となる有害物質「アミロイドβ」の蓄積理由はまだわかっていません。現在、蓄積理由の1つとして「加齢」や「糖尿病」などが関わっているのではないかといわれています。
また、タウタンパク質が溜まってしまう理由についてもまだわかっていません。

アミロイドβとタウたんぱく質の解明については、これからの研究に期待しましょう。

歯周病が認知症の原因成分「アミロイドβ」を増やす?

アミロイドβの蓄積理由はまだ不明ですが、ある研究で、歯周病菌やその毒素がアミロイドβを作り出すことが判明しています。

九州大学と中国の北京理工大学の研究チームが行なった実験で、歯周病菌を投与したマウスと正常なマウスを比較したところ、歯周病菌を投与したマウスへのアミロイドβ蓄積量が正常マウスの約10倍になったことがわかりました。

また、アルツハイマー患者の脳内から歯周病菌が検出されており、この歯周病菌によって脳炎症を起こすこともわかっています。



このことから、歯周病がアミロイドβの蓄積を進行させて、認知症の発症原因の1つになるといわれています。



<参考文献>

町田エス歯科クリニック「認知症の原因物質が歯周病によって蓄積する」

https://m-sdc.com/blog/3581

菊池中央病院「歯周病がアルツハイマー型認知症の原因になる」

https://nobuokakai.ecnet.jp/info/topic/1733/