認知症・物忘れの原因因子【1章-3】

認知症・物忘れの原因因子は12種類

認知症・物忘れの発症には原因となる12種類の因子(行動)があります。

① 教育歴 若齢期
② 難聴 中年期
③ 喫煙 高齢期
④ 抑うつ 高齢期
⑤ 社会的孤立 高齢期
⑥ 運動不足 高齢期
⑦ 大気汚染 高齢期
⑧ 糖尿病 高齢期
⑨ 頭部外傷 中年期
⑩ 高血圧 中年期
⑪ 過剰飲酒 中年期
⑫ 肥満 中年期

参考:浦上克哉「科学的に正しい認知症予防講義」翔泳社2021年出版

認知症の原因には加齢や遺伝性など変えられないものもありますが、喫煙や運動不足など生活の中で変えられる原因因子はあります。

ここでの①教育歴とは「知的好奇心」を指しています。

教育と聞くと幼少期から青年期に関係するものだと捉えがちですが、若齢期(40代)以降の方にも続けていくことが重要です。認知症の原因物質が蓄積されていても、知的好奇心を持った人は認知機能が衰えにくく「認知症になりにくい」という研究があります。逆に、認知機能が低下している人は認知症のリスクも増える傾向があります。

中年期(45〜65歳)以降に気をつけたい原因因子には、難聴、頭部外傷、高血圧、過剰飲酒、肥満があります。そして、高齢期(66歳以上)には喫煙、抑うつ、社会的孤立、運動不足、大気汚染、糖尿病などが原因の1つといわれています。

これらの症状がある方は、認知症に注意しておく必要があります。

認知症・物忘れの原因12因子と発症率

認知症が発症する原因因子は12種類ありますが、発症率はどの程度か気になりますよね。
そこで、12因子とその発症率
を以下の表にまとめました。

<認知症の原因因子12種類と発症率>

① 教育歴 7%
② 難聴 8%
③ 喫煙 5%
④ 抑うつ 4%
⑤ 社会的孤立 4%
⑥ 運動不足 2%
⑦ 大気汚染 2%
⑧ 糖尿病 1%
⑨ 頭部外傷 3%
⑩ 高血圧 2%
⑪ 過剰飲酒 1%
⑫ 肥満 1%

もっとも発症率が高いのは「難聴」の8%。続いて、教育歴、喫煙、抑うつ、社会的孤立と並んでいます。

そして、12因子の発症率をすべてを足すと約40%の発症率となります。つまり、逆に考えて、これら12因子を予防できれば40%分の発症率を抑えることができるのです。

「たかがこれだけの行動でなるわけがない」と思っている方は自分の生活習慣を見直し、改めて認知症の危険性について考えてみましょう。