ケイ素の過剰摂取はあるの?【2章-5】

ケイ素の研究アイキャッチ

1日のケイ素摂取量は40mgでいいの?40mg/日で足りているとは言えない理由。

ケイ素の1日摂取量が40mgと言われる理由はフラミンガム子孫研究

様々なシリカ商品があるなかで“摂取目安量”という言葉をよく目にしませんか?
だいたい1日40mgと表示されていることが多いと思います。
これは、有名な欧米の共同で実施された「フラミンガム子孫研究」によって判明したことらしいのです。この研究は、アメリカのフラミンガムという一つの街をまるごと対象にした、アメリカの国立研究所も関わり、60年以上続いている有名な大規模な調査研究です。
具体的には、2004年の同研究の発表のなかで、「1日ケイ素40mg以上を摂る人々」は、ケイ素の摂取量が少ない人たちよりも素晴らしい検査結果がでた、という論文発表があり、この40mgという数字が、ケイ素の摂取目安量の基準になったという説が主なものです。

フラミンガム子孫研究のケイ素40mg/日とはあくまで効果があった群の「最小摂取量」

しかし!!
それだけでは十分といえません。
なぜなら先述のフラミンガム子孫研究での40mgという数字とは、あくまで「1日のケイ素摂取量が40mg『以上』の人々」が良い結果だったということであり、中には100㎎以上摂っている人が含まれていたり、個人差を無視していたり、平均でもありません。一番少ない人の値です。つまり、実際には、素晴らしい検査結果が出たグループのなかで一番ケイ素の摂取量が少ない人が40mgだった、ということなのです。
つまりたくさんとればとるほどより効果が出やすいのでは?とおもっているわけです。

シリカ研究でも有名なフラミンガム子孫研究

シリカはカルシウムより骨密度に重要だと判明!

ここでフラミンガム子孫研究について簡単に説明します。

【フラミンガム子孫研究】
日本では、骨を強くする成分と言えばカルシウムが一般的ですが、米英共同の「フラミンガム子孫研究」からカルシウムよりもケイ素の方がより骨質・骨強度を高める働きが強いということがわかりました。

フラミンガム子孫研究とは、1940年代から米国で行われた「フラミンガム研究」というフラミンガムの街に住む方を対象とした追跡調査研究に当初参加した方々の子供を対象として1970年代にはじまった研究です。

ケイ素に関するヒトでの大規模な研究結果はフラミガムが初めて

ケイ素を含まない食事で育てたマウスは、骨の生育が不十分とのデータがあり、おそらく骨の健康維持に大切なミネラルだろうと考えられていましたが、ケイ素はこれまで人を対象にした大規模な研究はされておらず、人間の健康に対する影響がはっきりとはわかっていませんでした。
しかし、この「フラミンガム子孫研究」ではケイ素の摂取量が骨密度に及ぼす影響はカルシウムよりも大きいことがわかり、『骨に良いといえばカルシウム!』という今までの常識を覆しました。

特に今まで有効な治療薬がなく維持・進行を遅らせることが目標となっていた骨や歯、さらには皮膚や髪の良くない症状の対策について大きく進歩させるかもしれない発見をしたのです。

中国・インドではケイ素の平均摂取量が1日140~200mg。両国は骨折障害が少ない!

中国・インドはケイ素摂取量が多くて骨も丈夫だという調査結果

笑顔の中国人家族

さらに、ケイ素の摂取量に関して、おもしろい調査結果があります。
実は、国によって、国民のケイ素の1日の摂取量に大きな差があることが、海外の調査研究で明らかにされています。そして、そのことが、骨折障害や骨折による死亡率の高さに影響しているようなのです。

中国やインドの人々は、日常生活において、ケイ素の摂取量が比較的多いことがわかっており、なんと平均で14mg~200mgのケイ素を摂取しているという調査報告があります。
しかも、ケイ素摂取量が少ない国は股間接骨折による死亡率や障害率が多く、中国やインドでは骨の障害率は非常に少ないという研究調査結果まであるのです。

笑顔のインド人家族

こういった新しい調査研究の結果から、現在では、ケイ素1日40mgというもは、決して十分な量とは言い切れないこと、また、それ以上摂ったからと言って、副作用の実例も1件なく、そもそもケイ素の過剰摂取だとも言えない、ことが知られるようになっています。

<参考文献>
※a 渡辺和彦/部分執筆(2015)『化学経済』化学工業日報社 P84

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