●LEDの新しい毛髪治療法

再生医療は、主に病気、けが、障害などで失われた人体組織とその機能を組織再建や細胞治療により回復させる治療法です。現在の毛髪医療はどうなっているのでしょうか?
課題解決に向けた目標設定と努力により、LEDの新しい毛髪治療法やiPS細胞による再生医療の研究が進められています。日本発の技術で多くの患者が救われている現在の毛髪医療。今後の課題についても見ていきましょう。

実は、LEDの光を照射し、育毛を促す治療が臨床の現場で始まっています。赤色ナローバンドLEDが発毛や育毛を促進していることも科学的に解明されました。新しい治療法として注目されているLEDはなぜ育毛に有効なのでしょうか。
LEDは皮膚科の治療として以前から使用され、傷を治し、皮膚の色素沈着を取り除く面で一定の効果がある事が分かっていました。皮膚科では紫外線やレーザー光などの光を使った治療が行われており、皮膚海外でも高レベルレーザーを病巣にピンポイントで照射し、その熱で細胞を破壊する医療治療も行われています。
皆さんがご存じのがんの放射線治療もその一例です。また、低レベルレーザーも血行を促進し、生体を活性化する効果があることが知られています。
脱毛治療に効果があるのはレーザー光ではなく、よりエネルギー量の少ないLEDを使って、それを毛髪に応用するというものです。医療の現場でLEDは有用なことが分かっているのです。

●赤色LEDに着目

LEDは使用する化合物によって発する光が異なる特徴があります。主に使用されるのは、Ga(ガリウム)、N(窒素)、In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)で、放出される光の波長が違うために色が異なるのです。

光の波長と色の関係

450nm前後 青色
520nm前後 緑色
660nm前後 赤色

家庭用の照明は赤、青、緑の三原色。
混ぜるとより自然な色になる。

そのうえで着目するのは赤色LEDです。育毛に効果的な毛乳頭細胞は皮膚の下の深いところにある為、そこまで光を届かせるには波長の長い赤色光が良い。家庭用の照明の場合、いくら光を当てても表面で反射をするため届かないのです。
赤色LEDは毛乳頭細胞を刺激し、毛を増殖させる物質の分泌を促すことで、毛成長が早まると考えられています。

●安全性が高い

赤色LEDは肌がじんわり暖かくなる程度で、日焼けややけどの恐れがありません。そして、LEDはレーザーと違い小型化することも可能です。こうした安全性が最大のメリットです。その為、現在レーザー医学・医療分野からも注目を集めるようになっています。
また、育毛や発毛の効果だけではなく、様々な細胞を活性化させる効力を持ち、総合的に作用して効果を発揮すると考えられているのです。皮膚の再生においても期待されており、創傷治療への効果も表れています。赤色LEDと緑色LEDを組み合わせて照射する事で相乗効果がおき、早い段階で傷を小さくできると医療面でも期待されています。
将来的に家庭用が普及すれば、脱毛症に悩む患者や、美顔に効果がある青LEDと緑LEDは女性に対して、入眠効果が期待される青LEDは不眠症の方にと、幅広い医療分野で活躍する事間違いなしです。